フェムケア外来
フェムケア外来
フェムケアとは、Feminine(女性の)とCare(ケア)をかけあわせた用語です。フェムケアは、女性特有のデリケートゾーンの悩みを、美容や健康と同じようにオープンな意識でケアしましょう、というものです。主に海外の先進国を中心に広がってきたフェムケアですが、この数年でようやく日本でもよく聞かれるようになってきました。しかし気になる症状があっても、どうしたら良いかわからず放置している女性が多いのが現状です。デリケートゾーンのお悩みは決して恥ずかしいことではありません。まずは、ケアの方法があることを知って、その不安を一緒に取り除いていきましょう。
おりものの色や量がいつもと違うとき、においが気になるとき、また外陰に何かができてしまったときには病気の可能性があるので、下記のような症状がある際は婦人科の受診をお勧めします。
おりもの(白帯下)とは、女性の生殖器から排出される分泌物のことを指します。おりものは一般的な女性特有の生理現象で、膣内の自浄作用であったり、妊娠しやすい状態を維持するために重要な役割を果たしています。
ただし、おりものの状態や量に異常がある場合、例えば異臭や異色、かゆみや痛みがある場合、感染症や炎症などの可能性が考えられます。そのような場合は、婦人科医に相談することをおすすめします。
おりものに酒粕のようなぼろぼろとした白い塊が混じっている場合は、「カンジダ腟炎」「頚管炎」などの可能性があります。カンジダ腟炎の場合には、腟内部や外陰部にかゆみを伴うことがあります。おりものの量が増え、発熱や下腹部痛を伴う場合には、子宮内膜炎や卵管炎の疑いがあります。
白血球や細菌が多く混入しているために、膿性黄白色・黄色・緑色になります。
悪臭を伴った泡状の黄色っぽいおりものが増え、外陰部が痒い時にはトリコモナス腟炎の疑いがあります。これはトリコモナス原虫という寄生虫の一種によるもので、多くは性交で感染します。
黄色で、おりものの量が増え、発熱や下腹部痛を伴う場合には、子宮内膜炎や卵管炎の疑いがあります。
緑色をしていて、下腹部に痛みがある場合には、クラミジア感染症の可能性があります。これは性感染症のひとつで、初期にはほとんど自覚症状がありませんので注意しましょう。
茶褐色や赤っぽい場合には、おりものに血が混じっている可能性があります。悪臭がする、増加したなどの症状が重なっている場合には、子宮頚がん、子宮体がんなどが疑われます。また、老人性腟炎の場合にもおりものに血が混じることがあります。
風邪などで体調が悪化しているとき、生活習慣が乱れているときには、膣内では雑菌が繁殖しやすくなります。
まずは体調を戻したり、生活習慣を改めることを優先しましょう。
夏場だけでなく、寒い季節の過剰な防寒も膣内を蒸らすことがあります。湿度は大切ですが、蒸れてしまうと膣内の環境が悪化します。
装飾がふんだんに使われた下着は蒸れがちです。シンプルで通気性の良い下着を選びましょう。
お風呂で必要以上に洗ったり、ビデなどを使い過ぎると、菌に対する抵抗力が弱まります。
治療
投薬による治療を行います。症状に応じて内服薬、膣剤、外用薬など医師が適切な指示を行います。
膣内にはデーデルライン桿菌が生息し、これによって膣粘液は酸性に保たれ、他の悪玉菌の繁殖を防いでいます(自浄作用といいます)。しかし、体調の悪化や生理周期・妊娠等によるホルモンバランスの変化などでこの自浄作用が低下すると、大腸菌などの細菌が通常以上に増殖して、帯下の増加やにおいが気になったり、陰部が赤くなり痛くなったりすることもあります。
検査をして、膣錠や軟膏で治療をします。
細菌性膣炎と同様に、ストレスや過労による免疫力の低下、抗生物質の内服、生理周期・妊娠等によるホルモンバランスの変化などで膣内の自浄作用が低下します。すると、常在菌であるカンジダが異常に増殖し炎症を引き起こします。強い掻痒感や陰部の発赤、ヨーグルト様(酒粕様)の帯下の増加が特徴です。自覚症状がある場合には受診しましょう。
検査をして、膣錠や軟膏で治療をします。
加齢などによる女性ホルモン(エストロゲン)の低下によって、膣粘液は萎縮し乾燥しやすい状態になります。すると炎症を起こし、痒みやピリピリとした痛みを感じるようになります。中には不正性器出血や性交時の痛みが出現することもあります。
検査をして、膣錠や軟膏で治療をします。
なお、不正性器出血があった場合には、膣炎だけではなく子宮頸がんや子宮体がんなどの悪性腫瘍を鑑別する必要がありますので、早めの受診をお勧めします。