産科
産科
産科はお産という視点から、出産に伴う母体の変化、子宮・卵巣など女性性器の異常、さらに子宮内の胎児の状態をみる診療科です。妊婦健診では、体重や血圧の測定、超音波検査、尿検査、感染症検査、血糖値検査などを通じて、母体、胎児ともに問題がないかを定期的に確認します。ときにみられる、妊娠悪阻(にんしんおそ:つわりが悪化した症状)や、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、羊水過多症・過少症といった、妊婦特有の病気にも迅速に対応します。保健指導では辛いつわりへの対処法や生活上の注意点、マタニティーブルーへの対応といった精神面のサポートも行います。
すべての妊婦さんにとってお産は、赤ちゃんを授かったという喜びを感じる一方、身体面や生活面で不安を感じるものです。当院では健康的で、不安なく出産を迎えられるよう、一人ひとりに寄り添った医療でサポートいたします。ご主人とお二人での受診も大歓迎です。ぜひ、お越しください。
※当院では、出生前診断のNIPT・分娩は取り扱っておりません。
生理が遅れたり、軽い吐き気など体調が変化していたり、妊娠検査薬で陽性反応が出たなど、妊娠したかな?と思ったら、ぜひ早いうちにご来院ください。
はじめての診察では、問診と尿検査を行ったうえで内診・超音波検査を行い妊娠の判定をさせていただきます。また、他院で妊婦健診中の方のエコー検査も可能です。
胎内の赤ちゃんはめざましく発育し、それに伴いお母さんの身体も大きく変化してきます。妊婦健診では胎児の発育状態を診る超音波検査とともに、妊娠週に応じた様々な検査で、お母さんと赤ちゃんの健康をチェックします。
健診の際は、日常生活や食事のこと、日常での疑問や不安に思うことなど、何でも気軽にご相談ください。
⇒4Dエコーは、他院で妊婦健診を受けられている方も受けていただくことは可能です。予約制となりますのでお気軽にご相談ください。
妊娠初期は妊娠1~4ヶ月の時期です(妊娠中期は妊娠5~7ヶ月、妊娠後期は8~10ヶ月)。
妊娠初期の症状はおよそ妊娠3~5週あたりで現れ始めます。0~3週では基礎体温の高温層が続いたり、身体のだるさや熱っぽさを感じたりします。4~7週では予定月経が遅れる、乳白色のおりものが多く出るといった症状があります。8~11週では便秘気味になったり、足の付け根がつったりします。腰が重たく感じるようになることもあります。
妊娠初期は赤ちゃんの中枢神経や心臓といった重要な器官が形成されるとても大切な時期です。この時期は葉酸を含む食物の摂取や体を温めることを心がけてください。適度に体を動かし、血流の低下を予防することも大切です。また、避けたほうがよいことは、喫煙、飲酒、カフェインの摂取などです。薬も赤ちゃんへの影響が懸念されるものがあるため注意が必要です。
赤ちゃんがお腹の中で健やかに成長できるように日常生活を送りましょう。
妊娠前には糖尿病と診断されておらず、妊娠中にはじめて発症した糖代謝異常を妊娠糖尿病といいます。お母さんが高血糖であると、お腹の赤ちゃんも高血糖になり、様々な合併症が起こり得ます。お母さんには、妊娠高血圧症候群、羊水量の異常、肩甲難産、網膜症・腎症およびそれらの悪化のリスクがあり、赤ちゃんには、流産、形態異常、巨大児、心臓の肥大、低血糖、多血症、電解質異常、黄疸などのリスクがあります。妊婦さんの7~9%に妊娠糖尿病が認められるといわれています。とくに肥満や糖尿病の家族歴のある方、高年妊娠、巨大児出産既往のある方などはハイリスクとされていますので、必ず検査を受けるようにしてください。
妊娠中に高血圧を発症した場合をいいます。妊娠以前から高血圧を認める場合や妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠、妊娠20週以降に高血圧のみを発症する場合を妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿(肝機能障害・腎機能障害・神経障害・血液凝固障害、赤ちゃんの発育不良などを含む)を認める場合は、妊娠高血圧腎症に分類されています。
この病気は、妊婦さん約20人に1人の割合で起こるといわれており、早発型と呼ばれる妊娠34週未満で発症した場合、重症化しやすい傾向があります。重症化すると母子ともに危険な状態になることがある疾患です。妊婦健診をきちんと受診し、適切に周産期管理を行っていきましょう。
正常よりも低い位置(膣に近い側)に胎盤が付着し、胎盤が子宮の出口(内子宮口)を覆っている状態をいいます。通常、赤ちゃんは胎盤より先に出てきますが、胎盤位置異常では胎盤が赤ちゃんよりも下(膣)側にあるため、先に胎盤から出てしまいます。そうなると胎盤が出る時に大出血を起こし、赤ちゃんは胎盤が出た時点で胎盤からの栄養が途切れます。さらに子宮内にいる赤ちゃんは呼吸もできない状態になってしまいます。こうしたリスクがあるため胎盤位置異常の場合には、ほぼ帝王切開(お腹と子宮を切開して赤ちゃんを取り出す方法)分娩となります。ただし、妊娠早期に超音波検査で胎盤位置異常と診断されても、妊娠が進むにつれて子宮が大きくなると、徐々に胎盤が上にあがり、最終的に胎盤位置異常でなくなることも少なくありません。ですから、妊娠中期頃までの仮の胎盤位置異常は過度な心配はいりません。
早産とは正期産(妊娠37週0日から妊娠41週6日までの出産)より前の出産のことで、日本では妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産を早産と呼びます。早産では赤ちゃんの体重は500 g前後で長期間の新生児医療(新生児集中治療室での治療)が必要となります。また、早く生まれた赤ちゃんほど、のちに重篤な障害が出てくる可能性が高くなります。ですから、早産にならないように妊娠中は定期的な健診を受けて、早産になりやすい状況の早期診断と予防が重要になります。
切迫早産は早産の一歩手前で、子宮収縮(お腹のはりや痛み)が規則的・頻回に生じ、子宮の出口から赤ちゃんが出てきそうな状態をいいます。切迫早産の治療では、子宮収縮を抑える子宮収縮抑制薬を使用したり、原因の一つである細菌による感染の疑いがあれば、抗菌薬を使用したりすることもあります。
切迫早産や早産の予防のためには、無理のない日常生活を心がけることが最も大切です。妊婦健診をきちんと受診して予防に努めましょう。
不育症は、妊娠はするものの流産や死産を繰り返してしまい結果的に子どもを持てない症状をいいます。既往流産が2回の場合は反復流産、3回以上は習慣流産ともいわれます。日本には約3万人の不育症の方がいると推定されており、決して珍しいわけではありません。
頻度の高い原因の一つには、赤ちゃん(胎児)の染色体異常があります。また、抗リン脂質抗体症候群、血液凝固異常、子宮形態異常、甲状腺異常、夫婦染色体異常なども原因として挙げられていますが、検査をしても明らかな異常がわからない方もおられます。
流産を繰り返すと、気持ちの落ち込みや不安を感じます。まずは早めに受診してご相談ください。
不妊症は、妊娠を望まれている男女が性交しているにもかかわらず、1年以上妊娠しない場合をいいます。不妊原因は、女性因子である卵巣因子、卵管因子、子宮因子や男性因子、免疫因子など多様です。不妊のカップルは約10組に1組といわれていますが、近年は、妊娠を考える年齢が上昇している傾向もあり、この割合はもっと高いともいわれています。
不妊治療は検査に始まり、いくつかの治療法を試しながら、段階的に行うのが一般的です。
超音波検査は高周波の音波を利用して体内を視覚化する検査です。妊婦健診で行う超音波検査(エコー検査)は主に赤ちゃんの推定体重や羊水量、胎盤の位置をチェックします。赤ちゃんの骨格や内臓の状態など身体内部まで観察することができます。3次元動画像は、赤ちゃんの表情や動く様子をリアルタイムに観察することができます。あくびをする瞬間やまばたき、口を動かして羊水を飲んでいる様子なども観察できることもあります。
妊婦さんから採取された血液の中のα-フェトプロテインなど3~4種の物質を調べて 、対象の病気がある可能性の高さを調べる、クアトロマーカー、などと言われている検査です。
この検査は当院でも行なっております。 希望される方は診察時に担当医にお尋ねください。
どちらも当院では行なっておりませんので、ご希望あれば他院で受けていただく形となります。
当院ではいろいろな経験豊富な助産師が在籍しているので、気軽に相談に来てください。赤ちゃんの発育・発達などの相談は小児科や乳幼児健診でとなりますが、妊娠中から産後に気持ち的に不安定であったり、落ち着かない、不安や悩みがある、妊娠中の身体がしんどい、お腹の赤ちゃんがかわいいと思えない、お産・分娩の時のもやもやした気持ちが残っている、産後の育児がツラい…などなど、私たちは、どんな気持ちも思いも、否定したり非難すること、責めることはありません。どこかに助けを求める場として、軽い気持ちでお話に来てください。
お話を聞き、ちょっとスッキリしたり、一緒に考えていくことができれば、と思います。