月経のお悩み
月経のお悩み
月経痛や月経前のイライラなどの症状は我慢することが当たり前になっている方も多いのではないでしょうか。月経異常や不正出血の多くは女性ホルモンバランスの乱れですが、中にはポリープ、子宮筋腫、子宮がんなどが隠れている場合があるため、不調を感じたら我慢せずに受診することをおすすめします。
女性の月経の周期は、個人差はありますが、約1ヶ月のサイクルの繰り返しです。
一般的な月経周期は、25~38日ごとに、周期の変動は6日以内で、持続日数が3~7日のものを指します。この条件のうち1つでも当てはまらないものがある場合を、生理不順、または月経不順と呼びます。
月経不順に当てはまる症状を繰り返される場合は受診をお勧めします。また、過多月経も伴い貧血症状もあるようであれば受診したほうがよいでしょう。
月経不順の症状は、
などがあります。
月経時の経血量が異常に少なかったり、多かったりといった月経困難症の症状を伴うこともあります。無月経は症状がない場合もあります。
原発性無月経の場合、乳房の発達や陰毛の出現などの第二次性徴がないのが特徴です。
続発性無月経において、脳下垂体腫瘍などが原因の場合は頭痛や吐き気、めまい、視覚異常などの症状を伴い、無月経、月経不順ともに不妊につながりやすくなります。
月経周期が長く、39日以上に及ぶ場合は「稀発月経」に分類されます。
徐々に周期が長くなるケースもあれば、突然周期が長くなるケースもあります。
稀発月経の原因は、卵巣の働きが不十分であり、ホルモンが正常に分泌されていないなどが考えられています。ただし、生来的に卵胞の成長に時間を要する方もいます。
39日以上の周期であったとしても、規則正しく月経が訪れていれば問題ないこともあります。
稀発月経でも、排卵が行われていれば妊娠や出産は可能ということになりますが、稀に無排卵のケースも存在しますので、妊娠・出産をお考えの方は、稀発月経の定義に該当した時点で、一度受診されることをお勧めします。
月経周期が短く、24日以下という場合には「頻発月経」と呼ばれます。
周期が24日以下ということで、1ヶ月の間に2回生理になる方もいます。
稀発月経と同様、卵巣の働きが不十分であることでホルモンバランスが乱れている可能性が高いと言えます。
月経の期間が長く、8日以上続く場合には「過長月経」と呼ばれます。
ホルモンバランスの乱れや子宮の病気が原因と考えられます。女性ホルモンの分泌に関係する器官(視床下部、脳下垂体、卵巣など)に何らかのトラブルがあって無排卵周期になっていたり、または黄体ホルモンの分泌が不十分なために黄体機能不全になっていたりする可能性があります。
月経の期間が短く、2日以内に終わってしまう場合には「過短月経」と呼ばれます。
「過少月経」という経血量が異常に少ない状態を併発しているケースがよく見られます。
原因としては、女性ホルモンの分泌量が少ないため起こる子宮内膜の厚み不足、子宮の発育不全などが疑われます。
月経過多とは、経血量が異常に多い状態をいいます。
経血の量については、どこからが過多月経であるかの線引きは難しいものがあります。血の塊が出たり、生理用ナプキンが1時間もたないほど出血があるような場合には、過多月経を疑う必要があるかもしれません。
女性の場合、35歳前後より、徐々に卵巣の機能が低下していきます。
更年期前(30代後半以降)に月経周期の乱れや経血量の減少が見られれば、閉経に向けた身体の変化がすでに始まっている可能性があります。
月経不順となる原因にはさまざまなものがあります。
その中でも大きな原因としては「ホルモンバランスの乱れ」が挙げられます。
通常、月経は卵巣ホルモン、黄体ホルモンといった女性ホルモンによってコントロールされており、女性ホルモンの分泌は、脳視床下部、脳下垂体、卵巣の3つの器官が連携して行っています。
正常に機能していれば、月経が開始されます。
脳視床下部、脳下垂体、卵巣のうちのいずれか1つにでも異常が起こると、月経が開始されなかったり、周期が乱れたりといった問題が発生します。
脳視床下部は、ストレスの影響を受けやすい器官のため、家庭、職場、学校などでの精神的ストレスから視床下部の働きが乱され、ホルモンバランスが崩れて生理不順になることもあります。
また、激しい運動や無理なダイエットも生理不順の原因となることがあります。
問診や、検査で診断をします。
検査は、二次性徴の有無の確認、ホルモンの採血検査などを行います。
超音波(エコー)での画像診断も必要に応じて行います。
月経不順では、原因、年齢、妊娠をすぐに望むかどうかにより治療が異なります。
思春期では、排卵が未確立なことも多いため、1年に3~4回月経が来れば成長を待って治療することを相談します。過度のダイエットによる痩せ、肥満があるときは定期的なカウンセリングを行うことで不安を取り除きます。
また、40代前半のプレ更年期では、閉経まで経過観察をしつつ、婦人科がん検診を行います。
更年期障害のような症状があるときは、低用量ピルや漢方薬による治療を行います。未婚女性で妊娠を望まない場合は、ホルモン補充を行い観察します。妊娠を望むときは排卵誘発剤の投与を行います。
基礎体温表を記録するなど、自分のホルモンバランスを管理することも大切です。
また、月経困難症を合併する場合は治療として低用量ピルを使います。
低用量ピルは避妊だけでなく、ホルモンのアンバランスを改善できるお薬です。
月経に伴う痛みは個人差があり、同じ人でも、痛い月と痛くない月があります。
また、大人になるにつれて痛みが軽くなってくる場合や、またその逆の場合もあります。
生理痛の原因として、ストレス、月経に対する不安や緊張などの精神的な要因、子宮内膜でつくられるホルモンの影響、子宮内膜症や子宮筋腫などの子宮・卵巣の病気によるものなどがあります。
ホルモンが原因となっている場合は、痛み止めや低用量ピル、漢方薬などを使用し、症状を緩和させます。
子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因となっている場合は、薬による治療の他、手術が必要となる場合もあります。
また、現時点で子宮内膜症と診断されなくても、生理痛を放置すると子宮内膜症に進展することがありますので、生理痛がある場合には、遠慮なくご相談ください。
主な症状は、様々な痛みや不妊です。
痛みの中では生理痛が最も多く、その他、性交痛、排便痛、排卵痛、腰痛、骨盤痛、下腹部痛も引き起こします。不妊に関しては、子宮内膜症を患っている方のうち30~50%の方が不妊症を合併していると考えられています。
特に、卵巣にできた子宮内膜症を卵巣チョコレート嚢腫といい、卵巣予備能の低下による不妊、破裂や骨盤内感染、卵巣がんのリスクになります。
また、子宮筋層内にできた子宮内膜症を子宮腺筋症といい、強い痛みだけではなく、月経量が多くなり貧血症状を引き起こします。
薬物療法と手術療法があります。
症状の種類や重症度、年齢や妊娠の希望などを総合的に判断して最適な治療法を選択していきます。
薬物療法には、低用量ピルや黄体ホルモン剤などがあり、女性ホルモンの分泌を調整することで症状を緩和させます。
PMS(月経前症候群)は、月経の前になると決まって不快な症状が現れ、身体的・精神的に日常生活にまで支障をきたすことをいいます。個人差はありますが月経前、3〜10日前くらいから症状が現れ、月経が始まるとともに軽くなり消失するのが特徴です。
また、PMDDは、PMSの中でも特にこころの不調が激しく、日常生活や社会生活に支障をきたしているもののことを指します。
詳しい原因ははっきりとわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことがPMSの原因と考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく、多くの要因から起こるといわれています。
生活や仕事に影響が出るほどひどいようだと婦人科を受診しましょう。
月経の3〜10日前くらいに現れるさまざまな症状のことで、個人差はありますが精神神経症状と身体症状があります。
仕事の負担を減らしたり生活を改善しても症状が軽快しなければ、薬による治療をおこないます。
排卵が起こり、女性ホルモンの変動があることがそもそも原因なので、排卵を止め女性ホルモンの変動をなくすことで症状が改善します。低用量ピル(OC)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)が有効です。精神神経症状や自律神経症状に対しては、神経安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬物療法を併用したりします。また、漢方薬が有効な場合もあります。
個々の症状や状況に合わせて治療を選択していきます。